
SDGs
環境対応――小さな心がけの積み重ね――
10月に入り、昼夜の寒暖差が大きくなって参りました。
9月決算である当社にとって、10月は新しい事業年度の始まりになります。
冷え込む朝は起きるのも億劫になってしまいがちではありますが、冷たい風にしゃんと姿勢を正し、ここから一年間の業務に向き合う所存です。
さて、当社のHPでは『環境対応』としていくつかの取り組みを紹介しています。
印刷物を生み出す印刷機やその周辺装置、日々使うインキや資材の選定はもちろん、これまでのブログでも紹介してきたように社内外において様々な取り組みを行って参りました。

ブログでは環境に関する取り組みの中でも、植樹活動や放置竹林問題といった当社にとっては大きな取り組みを多数紹介しております。
しかし、トップページの『環境対応』に記載がある“小さな心がけの積み重ね”についてはこれまで詳しく解説する機会がありませんでしたので、新たな事業年度を迎えたこの機に少しお話しさせて頂ければと思います。

まず、日々使う資材の中に「ウエス」と呼ばれる物があります。
これは印刷機のメンテナンスの際にインキやオイルを拭き取るための布です。
ウエスは使い捨てではなく、使用後は専門業者によって回収され洗濯をされた後、再びウエスとして再利用されます。
使い捨てではないとはいえ、印刷現場においては日常的に使う物であり、その使用量を抑える事で得られる効果は計り知れません。
その使用量削減の対策として登場したのが「まだまだ使える感(缶)」です。

これは現場主導で生まれたアイディアで、使用済みのウエスを「これ以上は使えない物」(回収に出す物)と文字通り「まだまだ使えそうな感じがする物」に分けて保管し、新しいウエスを使う必要がない清掃やメンテナンスの際に社内で再利用する事で使用量を抑える取り組みです。
ウエスの使用量は仕事の内容やメンテナンスの頻度によって変わってきますので、どの程度削減できているかを数値化するのは難しいのですが、こういった活動こそが「小さな心がけの積み重ね」なのです。

また、印刷に欠かせない2つの材料があり、その1つがアルミ製の「刷版」です。
この刷版に印刷する絵柄や文字を焼き付ける(現像する)事で、インキの乗る部分(画線部)と乗らない部分(非画線部)を生み出し、印刷機に取り付けられ印刷物が製造されます。
このようにして使われた刷版は、焼き付けられた絵柄しか印刷できないため、一度しか利用できません。また、使用してから時間が経つと「感脂化」と呼ばれる非画線部にもインキが乗ってしまう状態になってしまうため同じ絵柄の刷版としての再利用も難しいのです。
しかし、アルミはリサイクル可能な非鉄金属であり、さらにアルミ再生地金の製造にかかるエネルギーは新地金製造時の3%程度といわれており、約97%のエネルギーを節約する事ができます。
また、リサイクルの際のCO2排出量も新地金製造時の3%程度といわれており、脱炭素社会において欠かせない有効な資源です。
当社は使用済み刷版をアルミ再生地金の原料として専門業者に引き渡しており、その量は前年度の実績で約13トンになります。この13トンのアルミは再び刷版となって当社へ戻ってきている……のかもしれないと思うと、これも一つの循環型社会への取り組みと言えるのかもしれません。

もう1つの材料は紙(印刷用紙)です。
印刷用紙は100%が製品になる訳ではなく、インキの濃度を合わせる課程で出てしまう損紙だったり、断裁時に出る断裁くずだったりと製品にならない紙、業界用語ですが「ヤレ紙」はどうしても発生してしまいます。
ヤレ紙の削減には印刷技術の向上や、機械の調整など、「小さな心がけの積み重ね」によって日々行われていますが、ゼロにする事は残念ながら難しいのです。
ですが、皆さんもご存じのように、紙もまた再生可能な資源であります。
当社はやむを得ず出てしまうこのヤレ紙を専門業者に依頼し再生紙の原料として引き渡しております。こちらは前年度の実績で約38トンにものぼりました。

一般的に言われている「古紙1トンで樹齢30年の立木20本を守る事ができる」という計算を信用するのならば、当社の古紙で立木760本分を守った事になります。
ただし、印刷用紙をはじめとする紙の多くは「樹齢30年の立木」からイメージされるような立派な木材から作られている訳ではなく、間伐材や建材の残材などから作られています。
「立木760本分を守った」という表現は少々大げさなのかもしれませんが、それでも「小さな心がけの積み重ね」が環境保全への大きな貢献になっていると当社は考えます。

最後になりましたが、当社から発生する再生資源を回収、処理して頂いている協力会社様に改めて感謝を申し上げます。
今回は当社が日頃から実践している活動をいくつか紹介させて頂きましたが、やはり「植樹」や「竹林保全」と比べてしまうと地道である事は否めません。
しかし、日々の業務で行っている「小さな心がけの積み重ね」こそが、印刷の品質を守り、環境を守り、地域への貢献とお客様の笑顔に繋がっていくと信じて、今期も邁進して参ります。
2025.10.31 カテゴリー: SDGs